2001年に大阪教育大学付属池田小学校で起きた池田小児童殺傷事件で当時小学2年生だった長女を亡くした本郷由美子さん(グリーフケアパートナー歩み代表)を招いた石垣中学校創立70周年記念文化講演会が、16日午後、同校で開催された。本郷氏は「いのちの重さを見つめ続けた18年~愛(かな)しみと共に生きる~」と題し、悲しみに寄り添える社会づくりを訴えた。
当時、愛娘を失った気持ちを「精神的な瀕死状態」と表現。娘が亡くなる直前に死力を尽くして廊下を歩き、68歩を踏みしめたことを知り「命がけで生きることの意味を知り『与えられた命を精一杯生きてね』と(娘の)声が聞こえた気がした」と振り返った。
事件から学んだこととして「『起こるはずがない』『まさか』といった危機意識のなさがある。あらゆる危機や予測不能な事態が起きることを知ることが必要」と指摘。事件を風化させないため「知識や情報のレベルで理解を広め、悲惨さや悲しみを全身で感じることが重要」と述べた。
悲しみに寄り添い支え合える優しい社会づくりに向け、相手の姿勢に寄り添う姿勢を大事にするグリーフ(悲観)ケアについて「日常的なグリーフは地域や友人、周りの人が声を掛けること。相手は落ち着くことができる」と紹介した。
池田小児童殺傷事件では、校内に刃物を持った男が侵入し、1、2年生の児童を次々と刺し、8人の児童が死亡、13人の児童と2人の教員が負傷した。