北朝鮮による事実上の弾道ミサイル発射に備え、自衛隊が石垣駐屯地に一時配備している地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の南ぬ浜町への展開が30日、正式に決定した。石垣市と国が使用許可を防衛省に出した。期間は同日から来月11日まで。自衛隊は近くPAC3の移動を始めると見られるが、30日午後9時現在、動きはない。
自衛隊はミサイルの破片などが石垣島周辺に落下した場合、PAC3で迎撃する態勢を取る。
市によると、防衛省側は29日午後、市に南ぬ浜町へのPAC3展開を打診した。南ぬ浜町は、国の出先機関である沖縄総合事務局が管理し整備を進めている。石垣市も一部を管理しているため、市と国がそれぞれ使用許可の権限を持つ。
30日午後には石垣駐屯地の担当者が市役所を訪れ、南ぬ浜町を使用する方針を正式に通知。市側も了承した。
市は30日午前、部長級を中心とする会議を開き、PAC3に関する情報を確認した。それを踏まえ、31日にはミサイル発射に対応する対策本部を設置する。
中山義隆市長は30日の記者懇談会で「市民の安全が最優先」とPAC3の展開に改めて理解を示した。南ぬ浜町に石油の貯蔵施設が立地することに関しては、防衛省側から安全性に問題はないとの説明を受けたという。
PAC3の展開は台風接近の中での作業になるが、中山市長は「(ミサイル発射の予告期間が始まる)31日の前には、本来準備できていないといけない」と指摘した。
北朝鮮が事実上の弾道ミサイルを発射した場合、全国瞬時警報システム(Jアラート)や気象庁・自治体が個人の携帯電話に送る緊急速報メールで地域住民に周知される。
国からの情報伝達を受け、石垣市では、国民保護計画の職員参集基準に従い総務課や防災危機管理課、消防など関係部局の職員が情報を収集。市民には、市の公式LINE(ライン)、フェイスブック、防災メールを活用し、ミサイル落下時に取るべき行動などを広報する予定。
学校は通常通りだが、Jアラートで通知があった場合は児童生徒に必要な避難行動を指示する。
北朝鮮は5月31日から来月11日までの間を打ち上げ期間に設定している。