【視点】「辺野古」いつまで政争の具に

 長い米軍統治に苦しみ、ようやく日本復帰を果たした県民には、米軍基地の受け入れを簡単に容認できない複雑な心のひだがある。このため容認派も、辺野古をめぐる議論はあえて避ける。しかし県民感情に訴え、辺野古移設を「戦争か、平和か」に単純化する一方的な議論が蔓延(まんえん)している現状では、この問題が政争の具にされてしまうだけだ。「辺野古」を冷静に議論する土壌をつくれない。
 改めて整理すると、辺野古移設は、辺野古の米軍キャンプ・シュワブを海上に拡張し、普天間飛行場の代替施設を建設する計画だ。建設位置はあくまで既存の米軍基地内であり、これまで米軍基地が存在しなかった場所に、忽然(こつぜん)として「新基地」が出現するわけではないことには留意する必要がある。
 反対派は「普天間飛行場の県内移設は基地のたらい回しであり、負担軽減にはならない」と主張する。普天間飛行場を無条件撤去しても、中国などに対する抑止力が低下する懸念はないと訴える。
 負担軽減は段階的に進めるほかなく、辺野古移設もそのステップの一つだろう。また、安全保障を「大丈夫論」で語ることには疑問がある。
 菅義偉官房長官は1日の記者会見で、改めて辺野古移設のメリットを①飛行経路が海上となるなど、住民の安全性が格段に向上し、騒音も大幅に軽減される②住宅防音が必要となる世帯は、1万数千戸からゼロになる③辺野古移設と併せて、沖縄に在住するとされる米軍約2万8千人の3分の1に当たる9千人が、グアムをはじめ海外に移転する―ことを挙げ「世界で一番危険と言われる普天間飛行場の危険を除去し、固定化は避ける」と説明した。また「新基地」であることも明確に否定した。
 「辺野古」はいつまで政争の具であり続けるのか。県民自身に突き付けられた問いではないか。

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