石垣市が、火葬場での遺体の火葬許可などの業務を、移転前の旧火葬場時代に制定された規則に基づいて実施していたことが15日分かった。規則では火葬許可書の様式に記された火葬場の住所が移転前のまま変更されておらず、現状にそぐわない内容だが、改正されないままになっていた。内原英聡氏が市議会一般質問で指摘し、大城智一朗市民保健部長は「さっそく諸手続きを行って規則を変更する」と述べた。
旧火葬場の移転に伴い、市は2015年に新火葬場の設置管理条例を制定した。旧火葬場時代の条例はこの際に廃止されたが、1972年に制定された条例施行規則はそのまま残り、現在も火葬許可の根拠規定として使用されている。
内原氏は、この規則による火葬許可は違法の可能性があるとの認識を示し「仮に適正な許可なく遺体を火葬し、この火葬が違法と判断されたら刑法の死体損壊罪に問われる。大切な家族が違法な手続きで荼毘(だび)に付されたとなると、心痛は計り知れない。市民の尊厳にかかわる」と非難。新火葬場での火葬が犯罪に該当しないか、捜査機関に問い合わせるよう求めた。
中山義隆市長は「規則に不備があれば早急に対応して治癒(ちゆ)したい」と述べた上で「行政が許可を出してやっている者に対して、住民が刑法に問われることはない」と反論した。
内原氏は、市総務部の法制担当が規則改正の必要を見逃したと指摘し「今は台湾有事より『石垣有事』と言わざるを得ない。市民生活、市民の尊厳に関する重大なミスに、どのように責任を取るのか。違法な手続きで大切な家族を火葬した市民を刑法に抵触させてはいけない」とまくし立てた。
内原氏と中山市長は、その後も尖閣諸島周辺海域の調査などを巡って応酬。内原氏の質問に対し、中山市長が「ああ言えばこう言う形で吹っ掛けてくる」と不快感をあらわにするなど、議場が一時騒然となる場面もあった。我喜屋隆次議長は「言葉遣いは気を付けていきましょう」と呼び掛けた。