県、国の承認指示拒否 辺野古移設、国代執行へ

「期限までに承認することは困難」と国に回答したことを記者団に明らかにする玉城知事=4日、県庁

 玉城デニー知事は4日、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設工事を巡り、同日までに工事の設計変更申請を承認するよう指示した斉藤鉄夫国土交通相に対し、「期限までに承認するのは困難」と回答した。政府の指示を事実上拒否した。政府は県に代わって承認する「代執行」に向け、5日にも福岡高裁那覇支部へ提訴。勝訴すれば工事に着手できる。

 この問題で最高裁は9月、県の主張を退ける判決を下し、県に承認する法的義務が生じていた。国が提訴すれば県の敗訴は濃厚で、早ければ年内にも国が承認を代執行する。
 玉城氏は4日、記者団の取材に応じ、「最高裁の判決内容を精査する必要がある」と話した。また、移設工事に反対する姿勢を改めて示し「国に対し県との対話に応じるよう引き続き求めていく」と訴えた。
 岸田文雄首相は同日、「世界で最も危険と言われる普天間飛行場を一日も早く移転させ、県民の安心につなげる努力を続けなければならない」と官邸で記者団に述べた。
 移設工事を巡っては、辺野古沖の海域に軟弱地盤が見つかったため防衛省が地盤改良に伴う設計変更を申請したものの、県は承認しなかった。
 9月の最高裁判決後、斉藤国交相が同月27日までに承認するよう勧告したが、玉城氏は「期限までに承認するのは困難」と回答。斉藤国交相は勧告を「指示」に切り替え、10月4日までに承認するよう求めていた。
 この間、玉城氏を支持する共産党など与党県議団が連名で、工事を承認しないよう求める要望書を提出。関係者によると、複数の県幹部は知事に「司法の最終判断には従うべきだ」と進言したが、知事は工事の承認はできないと決断した。行政機関として司法判断に背く「不承認」とは明言しなかった。
 移設工事を巡っては、地盤改良が不要な南側への土砂投入は、ほぼ終了した。軟弱地盤がある大浦湾側でも防衛省沖縄防衛局は護岸新設工事の入札を公告するなど、早期着工に向けた準備を進めている。
 政府は、9月の最高裁判決で承認義務を負った知事が応じないため、代執行の最初の手続きとして承認を勧告。「期限までの承認は困難」と知事が回答したことを受け、より強い「指示」に踏み切っていた。

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