尖閣諸島対策室が始動 今月下旬に現地調査へ 表示板設置、130年記念行事も 石垣市

市が尖閣諸島問題の専従課として設置した尖閣諸島対策室=5日午後、市役所

 石垣市が尖閣諸島問題に関する初の専従課として企画部に設置した「尖閣諸島対策室」が、1日から始動している。室長を兼任する野崎雅治企画政策課長をはじめ、職員5人全員が企画政策課との兼任。同室発足後、最初の大規模なプロジェクトとして、今月下旬には3回目となる尖閣諸島周辺の現地調査を控える。野崎室長は「調査を積み重ね、尖閣諸島の自然環境を保全する取り組みを進めていきたい」と意気込む。

 尖閣諸島問題は従来、市企画政策課の企画係で担当していた。尖閣周辺海域に中国艦船が常駐し、領海侵入を常態化させるなど、尖閣諸島を取り巻く環境が厳しさを増す中、中山義隆市長は尖閣問題への対応を強化するため、今年度から対策室を設置し、担当課を明確化した。
 対策室では、尖閣諸島問題に関し①情報発信②調査、研究③関係機関との連絡調整―などに当たる。室長、室長補佐、主任、主事2人が配置された。
 現在、対策室で準備を進めているのが尖閣周辺の現地調査。過去2回と同様に東海大の協力を得て、民間のチャーター船で尖閣周辺海域へ向かう。関係者によると、日程は今月25日ごろを軸に調整している。
 昨年は魚釣島の南側を調査したが、今回は北側をドローンで調査する予定で、ヤギによる植生の食害など、島で進んでいると言われる環境破壊の実態に迫れる可能性がある。
 今年度は市内の展望施設に、尖閣諸島の方向を示す表示板を設置する取り組みも進める。尖閣諸島が市の行政区域であることを観光客に周知するため、市議会でも表示板の設置を求める声が上がっていた。
 市は、政府が尖閣諸島の領土編入を閣議決定した1月14日を「尖閣諸島開拓の日」と位置付け、式典を開催しており、来年は閣議決定から130年となる。節目に合わせた記念イベントの開催を検討する。
 国際社会に尖閣諸島の正しい情報を張眞するため、ウェブ上で開設した「デジタル資料館」に関しても多言語化を進めており、年度内に英語版と中国語版のオープンを目指す。
 「ふるさと納税」の返礼品として尖閣周辺で獲れた「尖閣アカマチ」を出荷する取り組みは、3月28~31日に八重山漁協所属の漁業者が2回目の出漁を行った。約100㌔の水揚げがあり、出荷に向けて準備中だという。
 尖閣周辺の中国艦船が、出漁してくる日本漁船を追跡するなどとして威嚇する行為も日常化している。海上保安庁の巡視船が漁船を警護しているが、市は引き続き国、県に安全操業の確保を訴える。
 尖閣諸島資料館の建設も持ち越されたままの重要な課題。尖閣諸島問題の取り組みに要する費用の多くは、ふるさと納税を財源に充てており、市は対策室を中心に、引き続き全国に協力を呼び掛ける。

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