【視点】米新政権 協力し平和構築を

 米国の第47代大統領に就任したトランプ氏は「私の最も誇らしい遺産は平和の創造者であり、統一させる者になることだろう。それこそ私がなりたいものだ」と演説した。中東やウクライナの戦争を終結させるという強い意欲を示した発言だ。
 米国には、日本国民が最も懸念する台湾有事の抑止に力を発揮してもらう必要がある。日本はトランプ政権と積極的に協力し、国際的な平和の構築を進めるべきだ。
 実業家出身のトランプ大統領は、経済的にも非合理でしかない戦争に強い嫌悪感を抱いているといわれる。昨年、安倍晋三元首相の妻、昭恵さんと面会した際には、自身の写真集に「ピース(平和)」と書き込んで贈ったという。
 昭恵さんは帰国後、トランプ氏について「戦争をしたくない人だと思った。平和な世界に導いてほしい」と語った。多くの日本国民も同じ思いだろう。
 トランプ氏は就任演説で「私たちは勝利した戦争だけでなく、終わらせた戦争によって、恐らく最も重要なことは、巻き込まれなかった戦争によって成功を測る」と指摘した。他国の紛争に関与しない考えを示唆したとも受け取れる。
 米国が平和の創造者であるためには、自ら進んで多国間の調停役も果たす必要がある。世界最大の超大国が「戦争に巻き込まれたくない」と、単に孤立主義の道を歩むだけでは、領土拡大をもくろむ中国やロシアに漁夫の利を与える。それでは、かえって地域が不安定化してしまう。
 台湾有事が発生すれば、日本は当事者にならざるを得ない。有事を抑止するため、中国とどう向き合うべきか。当事者として米政府に助言できることは多いはずだ。トランプ氏に対し、基本として断固とした姿勢を求めるのも日本の役割である。
 沖縄県民が望む在沖米軍基地の整理縮小や負担軽減も、平和な環境であってこそスムーズに進む。
 トランプ氏は就任演説で「米国の黄金時代が始まる」と宣言。「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」を掲げた。これはトランプ政権の1期目でも打ち出された方針であり、日本としても冷静に見ていく必要がある。
 トランプ氏には同盟国を軽視しているとの批判が根強い。だがバイデン前政権が日本製鉄によるUSスチール買収阻止を表明したのを見ても分かる通り、実際には従来の政権も本質的に似たり寄ったりだ。
 日本としては過剰に身構えるのではなく、米国との懸案を一つひとつ丁寧に解決していく姿勢が求められる。
 トランプ氏は不法移民を停止させるための国家非常事態宣言、化石燃料の増産に向けたエネルギー非常事態宣言など、大統領選の公約を次々と就任演説に盛り込んだ。「火星に星条旗を立てる」と火星への有人飛行実現にも意欲を示した。
 就任演説だけでも分かる通り、大統領個人の特異なキャラクターや、強力なリーダーシップが際立つ政権になりそうだ。

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