県は12日開会する県議会2月定例会で、宿泊税を導入する条例の提案を見送った。宿泊税の制度設計を巡っては、石垣市議会が離島住民を課税免除にするよう県に要請するなど、離島の市町村から懸念の声が出ていた。玉城デニー知事は6日の定例記者会見で、担当部局から、離島住民に対し「説明が足りていない」「どのような対応ができるか検討したい」と報告を受けたと説明。今後、離島住民への支援策を再検討する考えを示した。県総務部税務課は「宿泊税を2026年度から導入する方針は変わらない」としている。
宿泊税は県内の宿泊施設利用者から一律に徴収されるため、観光客だけでなく、離島からの通院や児童生徒の大会派遣も課税対象となる。これに対し石垣市議会、宮古島市議会、竹富町議会が離島住民に対する課税免除や、何らかの支援策を導入するよう求める要請書を県に提出した。
玉城知事は「観光目的ではない離島住民の移動についても税の対象とするのはいかがなものか、という厳しい意見が八重山の議会や住民から上がっている。もう少し議案を練り込まないと理解が得られないだろう」と説明不足を認めた。
また「大切な独自財源をつくるための税の徴収であればなおのこと、丁寧に進めてほしいと考えている」と述べた。
離島住民を課税免除とすることについては、国が「税の公平性」の観点から認めていないと指摘。「離島住民に対してどのような支援策が取れるかは協議の余地がある。協議した上で、丁寧に説明しないといけない。フィードバックして議案を練り込んでいく作業は続けていくべきだ」と強調した。
その上で「離島住民が『この案なら理解できる』と歩み寄ってもらえる努力を続けていくべきだ」と、改めて離島市町村の理解を得たい考えを示した。
県総務部税務課は2月定例会への提案見送りについて「離島市町村に対し丁寧な説明や対応が必要で、国との協議もしなくてはならず、ある程度時間を要する」とした。
県は宿泊税を導入した場合でも、修学旅行生に関しては課税免除とする方針を決めている。離島住民を一律に課税免除とするのは難しいものの、離島住民の通院や児童生徒の派遣などのケースを課税免除にできないかが検討される可能性がある。
沖縄県の宿泊税は、宿泊施設の利用料から2%(上限2千円)を徴収する内容で、県は当初、2月議会に条例案を提出する意向を示していた。