石垣島平得大俣地区への陸上自衛隊配備計画に対する賛否を問うため、石垣市住民投票を求める会(金城龍太郎代表)が住民投票条例制定に向け集めている署名数は、22日までに6千筆を超える見通しになった。地方自治法が定めている有権者の50分の1以上の署名数を大きく超え、条例制定の直接請求は成立する公算が大になった。
署名活動は10月31日から始まり、今月末までの1ヵ月間続く。同会によると署名数は21日までに約5800筆集まり、22日中の6千筆突破が確実な情勢だという。目標は1万筆。
地方自治法で定める条例制定請求の成立要件は、石垣市の場合775筆。
署名活動終了後、同会は5日以内に市選挙管理委員会に署名簿を提出。市選管は20日以内に署名簿を審査し、7日間の縦覧期間を経て有効署名数を決定、告示する。その後、同会は署名簿を市長に提出。市長は20日以内に市議会を招集し、住民投票条例案を提出するという流れになる。
条例案では、条例施行から60日以内に住民投票を実施すると定める。同会は、市議会で条例案が可決された場合、遅くとも3月までには住民投票を実施できると見込む。
登野城の事務所には金城代表(28)をはじめ、若者たちの姿が目立つ。金城代表は「数の重みがあるので(1万筆に到達すれば)多くの人に自衛隊配備問題を考えてもらうきっかけになるだろう」と期待した。
金城代表は駐屯地建設予定地周辺の嵩田地区に住む農家。「予定地に一番近い地域に住んでいるのに、配備計画について全く蚊帳の外だった」(金城代表)という不満が署名活動のきっかけになったという。
陸自配備計画について同会メンバーの伊良皆高虎さん(28)は「慎重に議論すべきだ」、宮良央さん(28)は「今のペースで計画が進むのは早過ぎる」と話した。
市議会で多数を占める与党内では「国防や安全保障問題は住民投票にはなじまない」と指摘する声が多い。ただ与党内でも一部に住民投票容認論があり、条例案の否決方針で一致するのは困難な情勢だ。逆に条例案可決の可能性が濃厚になれば「署名数によっては、与野党の全会一致で条例が成立することもあり得る」との観測も流れる。