岩屋毅防衛相は3日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向け、辺野古沿岸部への土砂投入を14日に開始する方針を防衛省で記者団に表明した。これに先立ち、沖縄防衛局は3日午前から名護市安和にある民間会社の桟橋で、土砂を搬出用の船に積み込む作業を始めた。岩屋氏は「不退転の決意か」と記者団に問われ「そうだ。沖縄の負担軽減や普天間返還のための唯一の方策が辺野古移設だ」と述べた。
防衛省は新たな埋め立て土砂の投入予定日を12月14日とする通知書も県に提出した。岩屋氏によると、搬出作業には名護市安和の民間会社「琉球セメント」の桟橋を使用。移設先のキャンプ・シュワブに運び込む。土砂を積んだ船は3日昼ごろに桟橋から出港した。沖合で当面待機する見通しだ。
菅義偉官房長官も記者会見で「自然環境や住生活環境に最大限配慮し、辺野古移設に向けた工事を進めていく」と強調した。
玉城デニー知事は9月の県知事選で辺野古移設反対を訴えて勝利。翌10月と11月に安倍晋三首相と会談し、移設断念を要求したが、物別れに終わった。県は29日、国地方係争処理委員会へ審査の申し出を行い、国は辺野古移設工事で土砂投入に向けた準備を進めていた。
国と沖縄の対立に関し、岩屋氏は「政府としては十分に丁寧な段取りを踏んだ。今後も丁寧に説明しながら何とか理解をいただきたい」と語った。
沖縄防衛局は当初、沖縄本島北部にある本部港(本部町)からの搬出を計画していたが、岸壁の使用許可権限を持つ町は「台風被害で港の一部が壊れ、新たな船を受け入れることは不可能だ」として、使用を認めない方針を示している。
政府の計画では、船は沖縄本島北側の海上を経由し、埋め立て予定区域北側にある「K9」護岸に接岸。土砂をダンプカーに積み替え、埋め立て予定区域南側の護岸で囲まれた部分に投入する。