「辺野古米軍基地建設のための埋め立て」の賛否を問う県民投票は、県議会の与野党が設問の選択肢を2択から3択に増やす案で合意したことから、実施を拒否していた5市が方針を転換し、全市町村で実施される見通しになった。ただ、これまで指摘されてきた県民投票の問題点は、多くが解消されないまま残った。これでは安易な妥協という印象は拭えない。このまま2月に県民投票が全市町村で実施されても、無意味な政治ショーに終わってしまう恐れが十分ある。
県議会の与野党は24日、県民投票の選択肢をめぐって終日協議した。設問の選択肢に「賛成」「反対」のほか「どちらでもない」を加える新里米吉議長の案を夜遅くになって野党の自民党が受け入れた。
「市民の投票権を奪った」という批判の矛先が自民党に向かい、4月の衆院補選や夏の参院選に悪影響が出る可能性を懸念したとの見方がある。友党の公明党が、強く歩み寄りを求めたことも大きかった。
全県民が県民投票に参加できること自体は喜ばしいかも知れない。しかし問題は5市の市民の投票権が奪われることではなく、県民投票そのものが、基地反対派の政争の具に利用されている実態にあった。その点に何らメスを入れられないまま、なし崩し的に県民投票が実施されても、県民にとって最善の結果が生まれるとは思いにくい。
そもそも、3択案で追加された「どちらでもない」という選択肢に何の意味があるのか。県民投票は県民の民意を明確化することが目的であるはずなのに、実際の投票でこの選択肢を選ぶ人が多ければ多いほど、民意は曖昧化されてしまう。それでは本末転倒ではないか。