ジュゴンと海草藻場の保全に関する勉強会(沖縄県環境部自然保護課主催)が26日、本部漁業協同組合で開かれた。漁業関係者らは、ジュゴンの生態や漁網で混獲してしまった場合のレスキュー法等を学んだ。
定置網や刺し網等の漁網で誤ってジュゴンを捕獲してしまう事故は、世界各国でも大きな課題になっている。県内では、2000年に宜野座村でジュゴンが定置網にかかり、その時は生きていたが、漁師から連絡を受けた美ら海水族館のメンバーが救助に向かった3時間後には、息絶えていた事故が発生している。
20年以上に渡りジュゴンの保護に取り組んでいるジュゴンネットワーク沖縄の細川太郎さんは「ジュゴンは定置網の中にずっといればいるほど、死亡リスクが高まることが経験で分かった。漁師さんが見つけたとき、逃がすことができるようであれば、そのまま逃がすのが一番生存率が高くなる」と説明した。ジュゴンは保護したとしても、飼育して生存させるのが難しく、保護してから、生存したまま放流できた事例は今までないという。
現在、国内でのジュゴンの生息個体数は3頭で、沖縄本島北部にしかいないとも言われている。しかし2000年以降、ジュゴンやジュゴンが生息していることの証となる海草藻場の食み跡の目撃情報は、屋我地、今帰仁の近くや大浦湾、金武湾、勝連半島に加え、登野城や西表島の北部等からも寄せられている。
沖縄県環境科学センター自然環境課の小澤宏之課長は「漁業関係者からの目撃情報はとても貴重な情報源。不確かな情報でも構わないので、情報を寄せていただけるとうれしい」と語った。