石垣島への陸上自衛隊配備計画を巡り、石垣市住民投票を求める会の金城龍太郎代表らメンバー4人は12日、市議会で平良秀之議長と会い、住民投票の実現に協力を求めた。平良議長は、住民投票条例案を議員発議することは可能とした上で、与党から「住民投票は時機を逸している」との見方が出ていることについて「そうは思わない」と指摘。住民投票を実施する可能性に含みを持たせた。同席した石垣達也市議も同様の考えを示した。平良議長、石垣市議とも公明党に所属している。
1日の臨時議会で、同会が制定を直接請求した石垣島平得大俣地区への陸自配備の賛否を問う住民投票条例案が採決されたが、10対10の可否同数となり、平良議長が否決を決定した。石垣市議は退席した。今後、公明が住民投票に賛成の方針に転じれば、住民投票条例案が議員発議された場合、可決の可能性がある。
面談で平良議長は「(住民投票を求める)1万4千人の署名の重みは十分理解しているが、条例案の中身が議論されていない。しっかり審議した上で結論を出すべき」、石垣市議は「しっかりと真ん中に立ち、市民を分断させないことを重視した。(条例案が否決された理由は)議論が足りなかったの一語に尽きる」とそれぞれの対応の理由を説明した。
金城代表は「住民投票を求める思いが宙ぶらりんで残っている」と訴え、平良議長は「議員発議の方法は残っている」と応じた。
金城代表らは、沖縄防衛局が近く駐屯地建設工事に着手することを受け、与党から「住民投票は時機を逸している」との声が出ていることへの見解をただした。石垣市議は「当てはまらない。議論は宙に浮いている状態で、議会不信が起こる懸念もある」と、住民投票を実施する可能性を否定しなかった。
平良議長は「逆に聞きたい。住民投票は法的拘束力を伴わないが、どう考えるか」と質問。メンバーの宮良麻奈美さんは「仮に投票した人の90%が反対したら、計画に全く影響しないということは有り得ない」と強調した。
面談後、金城代表は公明の対応について「住民投票に否定的ではなく、審議することには賛成の立場だととらえていいと思う。条例が議員発議された場合は、賛同していただけると感じた」と強調。石垣市議が採決で退席したことについて、宮良麻奈美さんは「意見を出さないことが中立とは思わない」、メンバーの宮良央さんは「住民投票できなかった結果が市民の分断につながった」と注文を付けた。