細菌性食中毒「カンピロバクター食中毒」が沖縄県内や八重山地域で増加傾向にあることが8日、八重山合同庁舎で開かれた八重山保健所運営協議会(会長・中山義隆石垣市長)で報告された。同所は飲食店での加熱不十分な鶏肉の提供や、食肉販売業での客への情報提供不足、消費者の食品衛生に関する知識不足などを要因に挙げた。飲食店、食肉販売業者への監視指導強化や、食品衛生講習会での普及啓発などの対策に取り組む。
カンピロバクター食中毒は、細菌「カンピロバクター」を病因物質とする食中毒で、加熱不十分な鶏肉などの喫食や、生食肉に使った調理器具などによる二次汚染で発生する。日本で発生する細菌性食中毒の中で近年、発生件数が最も多く、県内や同所管内でも同様の傾向が見られる。
厚労省が行った2017年病因物質別事件数の全国統計では、同食中毒が31・6%で、アニサキスの22・7%を9ポイント近く上回り、県内では総事件数31件の52%を占め、最多となっている。
また協議会の資料によると、同食中毒は県内過去5年間で▽5件(14年、食中毒総事件数20件)▽4件(15年、同22件)▽10件(16年、同32件)▽16件(17年、同31件)▽15件(18年、同29件)―と増加傾向だ。
同所管内では今年1月に1件(5人)、2018年中には食中毒3件中2件(計3人)発生している。
協議会では、飲食店が加熱用表示のある鶏肉を生や加熱不十分で提供したり、食肉販売業者が「生肉禁止」「加熱を十分に行うこと」などの情報提供を消費者に行わなかったりしたことが要因として挙げられた。消費者の食品衛生に関する知識不足も指摘された。
対策として、飲食店には加熱用鶏肉の生あるいは加熱不十分な状態での提供中止や、食肉販売業者などへの「加熱用」表示の徹底指導、食品衛生月間などでの普及啓発資材の配布を行っていく方針だ。
同所生活環境班は「まずは生で食べないことを徹底してほしい」と呼びかけた。
同協議会は行政、医療、福祉などの関係機関・団体を代表した委員10人で構成されている。