【視点】大震災あす8年 確実な備えを

 東日本大震災からあすで8年。警察庁の発表によると、死者は12都道県で1万5897人。2533人が依然として行方不明で、岩手、宮城、福島の3県では警察官3600人超が遺体の捜索などを継続している。まだ大惨事の爪痕は生々しい。1771年に明和の大津波を経験した八重山にとって、地震や津波の脅威は常に身近にある。住民一人ひとりが改めて防災対策を見つめ直す時だ。
 8年前のあの日、どこで、どのように大震災のニュースを知ったかを鮮明に覚えている人も多いだろう。多くの人たちの人生が変わり、社会が変わった。まさに衝撃的な一日だった。
 大震災直後の東北地方では、家々が流されて広大な更地になったり、押しつぶされた車がうず高く積み上げられた光景が見られた。津波の威力は私たちが何気なく想像しているよりはるかに凄まじい。目の前で大切な肉親を流された人たちの生々しい体験談を、今でも聞くことができる。
 石垣島の海岸では多数の巨石が見られ、過去の津波で流された「津波石」と呼ばれることがある。考古学的な調査では、八重山には明和の大津波以外にも、太古から繰り返し津波の襲来を受けた痕跡があるという。沖縄は津波の常襲地帯である可能性が高い。
 災害に備え「自助」「共助」「公助」という言葉が、行政機関やメディアなどを通じ、何度も繰り返された。真っ先に来るのが「自助」であることからも分かる通り、まずは自分で自分の身を守らなくてはならない。
 大震災を機に広く知られるようになった標語に「津波てんでんこ」がある。「津波が到来したら、てんでに高台へ逃げろ」という意味だ。万一の時の避難は他人と相談している暇がない。直ちに動かなくてはならない。ふだんから家族で避難先を話し合い、確実に落ち合える手段を考えるべきだ。避難マップ、非常食、懐中電灯、ラジオなどの防災グッズも、なるべく常備したい。
 東北出身の大震災体験者によると、地震到来の直後から、埋め立て地では地盤の液状化現象が見られたという。石垣市の市役所は埋め立て地に建設されている。老朽化で当初は同じ場所での建て替えが有力だったが、大震災後の防災意識の高まりで、住民投票の結果、高台の空港跡地に移転することが決まった。県や各市町村では、毎年防災訓練が実施され、一斉送信メールを使った緊急情報の提供などの取り組みも進んでいる。
 災害時に心強いのは自衛隊の存在だ。陸上自衛隊第旅団は8日、離島への災害派遣に備え、船会社との覚書を締結した。陸自部隊が配備された与那国町では、町長が自衛隊と連携した実践的な防災訓練で地域の防災力を高める考えを示している。
 石垣島でも陸自配備計画が進む。着実な配備推進で備えを固めたい。

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