中国が1959年の「チベット動乱」を制圧し、チベット地域の統治権確立を宣言して3月28日で60年となったことに合わせ、中国国務院(政府)新聞弁公室が「民主改革」の成果をアピールした白書を発表した。チベット族は現在も人権や宗教、政治面で抑圧され続けている。しかし中国メディアは、中国統治を正当化し、地上の楽園が建設されたかのような報道を続けている。
中国国営テレビの現地取材に当たったレポーターの女性は、にこやかな表情で「チベット自治区政府の発表によると、99%のチベットの人々が幸福を感じている」と臆面もなく伝えた。
同テレビのニュース番組によると、白書は「偉大なる飛躍」と題され「大量のデータで、民主改革の成果をまとめた」とされる。
白書は農奴制度の打破、生産力の発展、信仰の自由などの項目からなる。同テレビのニュース番組は「民主改革はチベットの歴史上最も大きな社会的変革であり、チベットはこれによって新たな発展の道に入った」と強調。住民が中国による医療や教育の恩恵を受けるようになったと伝えた。「(チベット人は)夢を語れるようになった」と中国統治をたたえた。
チベット動乱では、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世がインドに亡命し、北部ダラムサラに亡命政府を樹立した。