知事の要求は結局、辺野古移設を阻止するための時間稼ぎではないかと見抜かれたのだ。玉城知事が何の成算もないまま、辺野古移設に反対する支持者と政府との間で、右往左往している実態が明らかになった。
しかし、10日も知事は報道陣に「辺野古の移設と普天間基地の負担軽減は切り離して、一日も早い危険性の除去を行うべきという立場は変わっていない。県民投票の結果を踏まえて、そのことをしっかり政府にも申し上げている」と述べ、辺野古移設反対に固執する姿勢を崩さなかった。
一方、松川市長は「普天間飛行場が非常に危険であるということは周知の事実だ。移設であれ、閉鎖であれ、危険性除去を訴え、発信をしていく」と述べ、普天間飛行場の危険性除去に向け、辺野古移設も選択肢の一つとの考えを示した。知事と宜野湾市の温度差は鮮明だ。
菅官房長官は記者会見で「宜野湾市長の意見も踏まえつつ、推進会議や作業部会を活用して負担軽減を図っていきたい」と強調。松川氏の意見に真剣に耳を傾ける姿勢であることをうかがわせた。
負担軽減推進会議と別枠での協議を要求するかのような知事の姿勢は、松川市長が知事と距離を置いたことからも見える通り、政府の基地負担軽減の取り組みをいたずらに混乱させる恐れがある。
玉城知事が非現実的な辺野古移設反対にこだわり続ける限り、基地問題に関する協議で政府から相手にされない状況は続くだろうし、そのことが辺野古だけでなく、もろもろの基地負担軽減策に悪影響を及ぼさないか懸念される。
沖縄振興策にしても、知事不在のほうが円滑に進むという状況になれば、悲喜劇としか言いようがない。
辺野古移設阻止を叫ぶ知事自身が基地負担軽減に逆行している。その現実を認識しなければ、普天間飛行場問題は前に進まない。