【視点】令和の沖縄を展望する

 良質の人材をいかに確保するかが地域の命運を決する。沖縄の慢性病とも呼ぶべき子どもの学力不振は、県民すべての未来に関わる問題だ。延長線上には、子どもの貧困問題も立ちはだかっている。全国トップレベルの学力を目指し、行政や地域が一体となった取り組みが求められる。
 沖縄は日本の安全保障の最前線であり、東アジアの安定も見据えた一定の軍事力の存在は必要だ。自由や繁栄をただで維持することはできない。
 だが、県民はいつまでも続く過重負担の持ち越しを容認していない。米軍普天間飛行場の早期返還は、基地整理縮小のシンボルだ。辺野古移設の是非が政争の具に利用され続ける現状に終止符を打ちたい。沖縄と本土の関係を冷静に把握し、米軍基地問題を巡る無意味な被差別意識とも決別する時だ。
 尖閣諸島への中国の脅威は、令和の時代も増す一方だろう。石垣市への陸上自衛隊配備を早期に完了させ、鹿児島から本島、宮古、石垣、与那国へと続く自衛隊の隙のない防衛ラインを構築してほしい。
 沖縄の持つさまざまな可能性を引き出すことに、政府も積極的だ。
 その一例は内閣府が進める泡盛輸出プロジェクト。宮腰光寛沖縄担当相の肝いりであり、沖縄にとっては数少ない地場産業を活性化する絶好の機会だ。県産米を原料に活用した泡盛を海外へ展開することで、酒造業者だけでなく、農家への経済波及効果も見込む。県には受け身になるのではなく、積極的なアクションを起こすよう求めたい。
 2021年度の沖縄振興特別措置法の期限切れが迫り、新たな沖縄振興計画の策定作業が急務だ。玉城デニー知事は、翁長雄志前知事の時代から続く安倍晋三政権との不毛な対立を断ち切るべきだ。令和の早い時期に、政府との協働体制を軌道に乗せてほしい。
      (論説主幹 仲新城誠)

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