【視点】「辺野古」に偏らない選挙戦を

 安倍晋三首相は参院選で、改憲を争点の一つに掲げると見られる。高良氏は「9条が改正されると、沖縄の基地負担はこれまで以上に大きくなる」と危機感を募らせる。安里氏は、戦争放棄の理念は踏襲するが「(改憲の)議論すらできていない現状に違和感を覚える」と改正に一定の理解を示す。
 現行の沖縄振興計画は2021年度に期限切れを迎え、新たな計画策定に向けた政府と県の連携が急務だが、辺野古移設を巡り、玉城県政は安倍政権との対立を深めている。
 安里氏は「経済や社会、教育、福祉のすべてに共通するのはリアリズムだ」と、現実主義への転換を主張。高良氏は「玉城県政を国政の場から支えたい」と政府に対し、一歩も退かない構えだ。「玉城路線」を県民が信任するかどうかも争点になる。
 沖縄は観光を中心に活況を呈しているが、中小企業の経営は依然厳しく、本土との所得格差も大きい。子どもの貧困や学力不振問題なども積み残されたままになっている。参院選でも論議が必要だ。
 米軍基地問題は日米合意による嘉手納以南の基地の返還、跡地利用の促進、日米地位協定の見直しなど多岐にわたり、辺野古移設の是非は、数ある米軍基地問題の一つに過ぎない。
 しかし近年の県政、国政選挙は有権者の関心が辺野古に集中し、移設の是非だけが選挙戦を左右するような、いびつな状況になっている。国会議員に求められる資質は、幅広い政策論争に対応できることだ。このような状況は民主主義の危機ではないか。
 高良氏は社大党の現職、糸数慶子氏の後継者として立候補する。糸数氏は政治活動の継続に意欲を示しており、沖縄本島の一部や宮古、八重山からなる衆院4区への転出がうわさされる。沖縄の政局は、衆参同日選の可能性もにらみながら動くことになりそうだ。

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