【視点】米イランが一触即発

 沖縄から遠く離れた中東で、多くの県民が気づかないうちに、軍事衝突の危機が刻々と高まっている。紛争の火種が存在するのは、何も中国や北朝鮮だけではない。
 ただトランプ大統領は、記者団から「イランと戦争するつもりか」と問われ「望まない」と答えた。イランもザリフ外相をインド、中国、日本に緊急派遣するなど、外交努力で米国の圧力突破を試みている。戦争回避に向けた動きも続く。
 トランプ政権の特徴は「アメリカ・ファースト」(米国第一主義)を声高に主張することだが、国益を最優先して行動することは、何も米国に限ったことではない。しかしオバマ前政権は、正義を体現する仲裁者のような顔をして「核なき世界」などを訴えた。そうした外交は、国際社会から冷厳な現実を突き付けられれば、泡のように潰(つい)えるものでしかなかった。
 一方、米国が置かれた現状を変えようというトランプ大統領の強い意思は今、世界を揺るがしている。中国には不公正な貿易慣行の廃止を要求し、米中は全面的な貿易戦争の瀬戸際にまで至った。
 北朝鮮に対しては、金正恩労働党委員長とのトップ会談による核・ミサイル問題の打開を試みるなど、硬軟取り混ぜた政策を展開している。
 拉致問題を抱える日本も、米政権の政策変更に慌ただしく対応しながら、安倍晋三首相が金委員長との直接交渉を実現したい意向を表明した。
 米国を中心に、中国、イラン、北朝鮮、さらにはロシアと、世界は強大な軍事力を持つ国によって動かされている。「力」を後ろ盾にした国益のせめぎ合いが続いていることは、百年前も現在も変わらない。
 日本はそのような力を持たず、できることは限られる。嵐の中で必死に身をかがめながら、目指すべき国益を見失わないようにしなくてはならない。

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