【視点】「豊かさ」どこまで享受できたか

 景気拡大や雇用環境の改善が続く中、県民所得は8年連続増となった。一人当たり県民所得も4年連続の増加で、全国の所得水準との差も縮小している。この勢いを今後も持続させ、確固とした社会基盤を構築することが現在の世代の務めだ。
 ただ沖縄を取り巻く国際環境は、必ずしも安定しているとは言えない。最大の懸念要因は中国の存在だ。沖縄のすぐ隣で中台関係の緊張が続いている。中国が台湾への個人旅行を停止する措置を取ったことは、観光産業が抱える「中国リスク」を浮き彫りにした。
 米軍基地問題を巡り、県政と政府の関係も「対立」と呼ばれる異常な局面にある。県と政府が一体となり、観光インフラの整備を進めてきたことが沖縄の成長につながってきたことを思えば、両者の反目は沖縄の将来にとってマイナス要因にしかならない。政府との対立を激化させた前県政の負の遺産を、発展的に解消する知恵が求められている。
 「豊かさ」は収入の大きさだけを指すものではなく「心の豊かさ」と呼ばれる精神面の満足度も大きな要素となる。県が3月に発表した第10回県民意識調査では、県民の85%が「幸せ」「沖縄に生まれて良かった」と回答した。
 県民の幸福感の根底にあるものを追求し、沖縄の良さを伸ばしながら、バランスの取れた経済の進展を図っていく必要がある。本土との3割の格差とは何なのか熟考することも大切だ。
 努力が報われる社会、創意工夫が生かされる社会、機会が平等に与えられる社会の「沖縄モデル」を構築できれば、沖縄は名実ともに日本のフロントランナーになれるだろう。

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