【視点】知事、繰り返される展望なき訪米

 玉城知事は「2月に行われたワンイシューの県民投票で、71・7%が反対したことも丁寧に説明して理解と協力を求めたい」とも語った。
 各種選挙で辺野古反対を掲げた候補が勝利してきたことは過去にも米側に説明してきた経緯があり、県民投票の結果にそれ以上のインパクトもがあるとも考えにくい。
 辺野古移設に反対する「オール沖縄」勢力は、次期衆院選を巡っても内部に対立を抱えている。現職が引退する衆院2区、自民党が議席を持っている同4区の候補者がまだ決まっていない。
 衆院2区では現職の照屋寛徳氏が北中城村長の新垣邦男氏を後継指名したが、社民党内に異論があり、擁立決定に至っていない。宮古や八重山を含む4区では候補者に前参院議員の糸数慶子氏や県政策参与の照屋義実氏らの名前が挙がっているが、決定にはまだ時間がかかりそうだ。
 一般の有権者から見れば、2区、4区とも何を基準に人選が進んでいるのか、よく分からない。特に4区は、離島住民から見ればなじみのない人物が擁立される傾向があるが、宮古、八重山の有権者に対しても透明性を持った方法で人選ができるかも問われる。
 「オール沖縄」勢力の盟主としての玉城知事が調整役として存在感を発揮すべき局面だと思われるが、訪米がこのタイミングになった理由は何だろうか。米国議会で国防に関する法案が審議されていることを理由に挙げる報道もあるが、衆院選の候補者選びは地域に任せているということだろうか。
 自民党は玉城知事が県事業の受託業者と契約前に会食していた問題で攻勢に転じている。ただ県議会では少数野党のため、百条委員会の設置は困難な情勢だ。この時期の訪米は、野党の追及をかわせるという玉城知事の余裕の表れでもあるだろう。

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