【視点】「辺野古阻止」のエネルギー離島に

 別の問題もある。辺野古移設阻止を「県政運営の柱」とまで言い放った翁長前知事以来、県政の場で離島振興という言葉の重みは「格段に薄れてしまった」と、多くの離島住民が感じている。
 ここ10年ほどで離島振興の目に見えた成果と言えば、一括交付金を活用した航空運賃や船賃の軽減と、県立八重山病院の改築だろうか。いずれも保守県政だった仲井真弘多元知事時代に芽出しされた事業で、翁長、玉城県政は既定路線を引き継いだ。
 八重山で県政や国政選挙があるたびに浮上する離島振興の宿題は、人やモノの輸送コスト軽減だ。一括交付金の活用で前進したとはいえ、現状はまだ高止まりであり、不十分との声が多い。さらには一括交付金の制度終了後もそろそろ念頭に入れなくてはならない。
 しかし翁長県政の約4年間、この問題で劇的な前進はなかったし、玉城県政になっても、現在のところ目立った動きはない。
 本島に比べ、人口の少ない離島にそこまで肩入れすることは不可能だと反論されるかも知れない。だが沖縄自体が離島県であり、本土や政府に対して独自の歴史や地理を訴え、沖縄振興計画を通じた優遇政策を要望している。そうであれば県のさまざまな政策で、離島が本島より優先されることに何ら論理的な矛盾はない。
 仮に知事が思い切って「離島振興こそ県政運営の柱だ」と宣言し、これまで辺野古阻止に注いできた多大なエネルギーを離島振興に回したとしても、多くの県民は納得するのではないか。

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