「沖縄21世紀ビジョン」の総点検や新たな沖縄振興計画策定に向けた議論を行う県振興審議会離島過疎地域振興部会(部会長・嘉数啓琉球大学名誉教授)の第5回会合が12日午前、那覇市の県離島児童生徒支援センターで開かれた。離島の医療やごみ問題などが課題に挙がった。この日取りまとめた調査審議結果報告書案は、新たな沖縄振興計画案に反映される。
へき地医療の現状について崎原永作委員(公益社団法人医療振興協会理事)は「離島医療体制をいつ、どのように充実するのか具体的な方策がなく、へき地医療支援機構についても組織があるのに活用しきれていない」と指摘。外間守吉委員(与那国町長)は「18の離島市町村、県、医療関係機関が徹底的にこれからの離島医療を深掘りして議論を進める検討委員会を設けてほしい」と求めた。
上妻毅委員(一般社団法人ニューパブリックワークス代表理事)は新たに生じた課題として離島・過疎地域のオーバーツーリズム対策を挙げた。「これまでの観光振興のみではなく『観光管理』や離島と関わる人口を現す『関係人口』を離島過疎地域の振興にあたって重要な概念として、取り入れてもらいたい」と提言。「これからの沖縄振興に求められる新しい指標や目標についても見直すべき」と訴えた。
金城清典委員(琉球エアーコミューター代表取締役社長)は重要性を増した課題として、海岸漂着ごみを含めた離島の廃棄物処理を指摘。「海岸の漂着ごみは異常事態。国と連携を取った対応を考えていかないと自然は守れない」と訴えた。
繁忙期に離島住民が利用する交通網拡充やごみ焼却船の導入、先島海上航路についても意見が出た。
上妻委員は「離島ごとに異なるニーズをきめ細かく把握することが重要。共通解を検討し、対策や仕組みに反映していくべき」と述べた。