「建設の気運盛り上げを」 協議会、新博物館構想で指摘

博物館の狭隘化が進み、収蔵品の展示スペースも限られている。写真は「國吉清尚展」を見学する中山義隆市長、石垣安志教育長(右)=5月10日、八重山博物館

 石垣市立八重山博物館協議会(大田静男会長、10人)の今年度第2回会合が3日、同博物館で開かれ、新博物館建設構想に関し意見交換した。財源確保のめどが立っていないため、現段階で建設の具体的な動きはなく、大田会長は「『お金がない』では前に進まない。シンポジウムを開催するなど、いろいろな手法で博物館の大切さを訴えて、建設の気運を盛り上げていくことが求められる」と指摘した。

 協議会は3月、新博物館建設などを求める要請書を市に提出。市は財源確保に向け、9月議会で博物館建設基金条例を制定した。今後について浅田浩館長は「タイミングを見て、ふるさと納税や寄付金の募集をかけ、余剰金の積み立てなど、財政課と調整しながら財源確保に取り組みたい」と述べるにとどめた。
 事業費は概算で40億円程度との見通しも示した。
 山根頼子委員は「文化施設は金食い虫のように言われるが、実はお金を生む施設。いろんなことができる可能性を秘めた宝の箱」と強調。「インフラ的な施設がすごく軽視されて、取り返しのつかないことになるのではと懸念している」と述べた。
 同博物館の狭隘(きょうあい)化が進み、収蔵品の収蔵スペースが少なくなっていることについて浅田館長は「次年度、収蔵庫を整備したい」と報告。館外でプレハブの収蔵庫を建設するため、市長部局に予算要求していることを明らかにした。
 首里城焼失を受け、博物館の防火体制も説明された。館内と隣接するプレハブの収蔵庫には煙を感知する機器があるが、スプリンクラーはない。館内には消火栓が1カ所あるが「館外からの出火や、館内で激しく燃えた場合は対応できない」という。
 同博物館が民間の建物を借り上げて使用している収蔵庫についても、委員から「防火設備はゼロ」との指摘があった。
 同博物館は1972年に建設され、築47年が経過して老朽化が進んでいる。

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