【視点】観光客1千万人 足元に迫るリスク

 中国本土の新型肺炎発症者は3千人に迫り、死者は80人に達した。現在の流行状況を見ると、沖縄もある程度の覚悟を固めたほうがいいのかも知れない。水際対策には限界がある。いざ患者が発生した場合にどう対応するか、風評被害の対策も含め、県と民間が連携し、今のうちに手立てを考えることが急務だ。他の自治体では、既に健康相談窓口の設置や、患者発生時の受け入れ先となる病院指定などの動きがある。県も立ち遅れるべきではない。
 昔から「観光は水物」と言われる。最近まで大勢の人たちでにぎわっていた観光地が、何かのきっかけであっという間に閑散としてしまうことは日常茶飯事だからだ。
 新型肺炎だけではない。19年には韓国客が急減した。反日感情の高まりによる訪日自粛が要因で、日本と韓国を結ぶ路線が次々と休止した。玉城デニー知事らが韓国へ飛び、必死に来県を訴えたものの、効果はなかったようだ。沖縄観光が順調さと裏腹の危うさをはらんでいることは、自覚しておく必要があるだろう。
 19年の八重山の入域観光客数は初めて140万人台に達する見込みだ。観光地によっては観光客数が許容量を超えてしまう「オーバーツーリズム」が新たな課題に浮上している。
 世界自然遺産登録を前に、県は西表島の入島人数に上限を設定する方針を固めた。
 豊かな自然は沖縄最大の財産だが、八重山では開発が進み、手つかずの自然は減少の一途をたどり、希少種のイリオモテヤマネコやカンムリワシの交通事故死も絶えない。
 観光客数の多さを求めるのではなく、一人の滞在日数をなるべく延ばし、質の高い観光を楽しんでもらう「量から質へ」の転換も求められている。観光客一千万人時代の到来は、その意味でも沖縄の転機になりそうだ。

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