【里永記者の「これ聞いていいですか?」】前川喜平元文科事務次官 中

 例えば〝従軍慰安婦問題〟が存在しない論拠は▽問題の発端は朝日新聞が嘘の証言に基づき行った大キャンペーン。同紙は後にこの大誤報を謝罪▽李栄薫・ソウル大学前教授らも、「慰安婦は軍の管理した公娼であり性奴隷ではない」との研究成果をベストセラー『反日種族主義』で示している▽日本に多額の賠償請求をした李承晩政権でさえ、外交交渉で取り上げたことがない―等々。
 〝南京大虐殺〟を否定する論拠は▽当時の南京の人口は国際委員会が約20万人と示し、食糧配給のため占領直後に行なった調査では25万人に増加▽日本軍人と中国人が楽しそうに生活する多くの写真や証言▽国民党による戦時対外宣伝(プロパガンダ)だった―等々。
 私は一次資料的にも、論理的にも、状況証拠的にも、いわゆる〝従軍慰安婦問題〟〝南京大虐殺〟はないと考えるのが穏当だと思う。
 しかし、今日は驚いた。前川氏は〝従軍慰安婦問題〝〝南京大虐殺〟を「歴史学の事実」と言い切ったのだ。
 「主体的で、偉い人の言いなりにならない、そういうのが人格の完成だ!」「学問の自由を強調したい!」と主張する前川氏が、まさか学問に対する謙虚さを忘れ、過去の研究を批判し発展していく学問研究というものを無視しているわけがない。前川氏の主張とは逆の研究成果を、覆(くつがえ)す資料の数々を完全に揃えているはずだ。
 そうでもなければ、専門家でも意見が割れる問題について、500人を前にあんな発言などできない。
 あぁ、一言、「出版の予定はないんですか?」と聞いてみたかった!
 前川氏には自身が集めた資料に基づき、ぜひ本を書いてほしい。出版されたら絶対に購入して勉強させていただく。そして広く認められれば、前川氏の言う〝日本の悪行の数々〟がデカデカと教科書に載ることだろう。

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