「平和の尊さ語り継ぐ」 ミズーリと姉妹館提携 知覧特攻平和会館

姉妹館提携の協定書を示す塗木市長とモニター越しのダイソンCOO(知覧特攻平和会館提供)

 太平洋戦争末期に戦死した陸軍特別攻撃隊員の遺品や関係資料を展示・収蔵している知覧特攻平和会館(鹿児島県南九州市)が15日、米国ハワイ州にある戦艦ミズーリ記念館と姉妹館提携し、リモート締結式が開かれた。当初は4月にハワイで開催する予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期となり、オンラインでつなぐ形式で行った。

 ミズーリは1945年4月、鹿児島沖で旧日本軍の特攻機の攻撃を受け、その後、日本の降伏文書調印式の場にもなった。攻撃の跡が残る船体は現在、記念館として真珠湾に係留されている。
 両館は2015年4月から共同企画展「KAMIKAZE(神風)展」をミズーリ記念館内で開催し、知覧側が貸し出した特攻隊員の遺書や手紙、軍服など19点と写真80枚を展示している。
 その後も両館の学芸員らが相互に訪問するなど交流を深め、戦後75年を迎えた今年、さらなる平和への取り組みを協力して推進しようと提携を結んだ。
 締結式は当初、ハワイで4月に行う予定だったが新型コロナの影響で中止し、終戦記念日の15日、各館でオンラインによるリモート締結式を行なった。
 ミズーリ側ではマイケル・カーCEOの代理としてポール・ダイソンCOOが出席し、来賓として在ホノルル日本国総領事館の山中真一首席領事も参加。
 知覧側では塗木弘幸南九州市長が調印し、モニター越しでダイソン氏とともに協定書を見せ合った。
 塗木市長は「南九州市は多くの特攻隊員の出撃を見送った。慰霊の歴史の中で共同企画展の開催は画期的な出来事。戦艦ミズーリに激突した特攻隊員の遺体を丁寧に弔った米軍兵士の寛容と博愛の心が、70年を経て両者を結び付けてくださった」と感謝。「いつまでも長く、ともに手を携えて、平和を守ることの尊さを世界に向けて語り継いでいくことを確信している」と期待した。
 特攻平和会館の朝隈克博館長は「かつて敵対した国の資料館同士が、立場や考えを超えて連携することに大きな意味がある」と話した。記念品として同市の彫金技術で作った小皿と、ミズーリの甲板の板材を使った飾り板を交換した。
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 戦艦ミズーリ
 1945年9月2日、東京湾の同艦上で日本が降伏文書に調印した軍艦。44年6月に就役、第二次世界大戦中は主に太平洋を中心に活動し、沖縄戦にも出撃した。92年に退役し、99年から記念館として一般公開され、教育の場として活用されている。

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