【視点】満身創痍だが価値ある五輪

 石垣市と竹富町がホストタウンを務めたサンマリノ共和国は、女子クレー射撃に出場したアレッサンドラ・ペリッリ選手が銅メダルを獲得し、同国史上初の五輪メダリストになった。人口約3万4000人と八重山より小さな国で、五輪メダルの獲得国としては史上最小だという。ペリッリ選手は「努力してここにたどり着いたから、本当に誇らしい」と涙を流して喜んだ。
 五輪では「金メダルでなければ」と公言する選手もいるし、圧倒的な強さで優勝する選手の勇姿にどうしても目が行ってしまう。だが精一杯戦ってメダルに手が届いた選手の言葉には、それが金メダルでなくても重みがある。時には敗者から勇気づけられることもある。そうしたことを改めて教えてくれた大会だった。
 東京五輪は、コロナ禍で沈みがちな世相に明るい光をともした。全国の各種世論調査でも「開催して良かった」という意見が過半数を占めた。大会前の数々のトラブルや、無観客を余儀なくされたことなど、反省すべき点は多かったが、全体として五輪は成功だったと総括していい。
 大会期間が新型コロナ「第5波」と重なったことは不運だった。五輪の余韻に浸る暇もなく、国民はコロナ禍との戦いという現実に引き戻されている。だが満身創痍(まんしんそうい)で勝ち取った成功だからこそ、今回の五輪には価値があるのかも知れない。

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