【視点】台湾への威嚇 県民も注視を

 尖閣周辺海域では中国海警局の艦船が常時「パトロール」と称して航行しており、操業する日本漁船への接近や追尾を繰り返している。
 県は尖閣情勢について「対話や外交による平和的解決を政府に求める」と繰り返しているが、楽観的に過ぎると言えよう。確かに日本や台湾は対話を求めているが、中国の姿勢は実力行使ありきで、とても平和的解決を志向しているようには見えない。
 80年代まで経済的な小国だった中国が、急激な経済成長で米国と覇権を争うほどのスーパーパワーにのし上がった。「超大国」としてのマナーや責任を自覚しないまま、図体だけが大きくなった。「中華民族の偉大な復興」をスローガンにのし歩く姿からは、中国指導部の慢心がかいま見える。
 TPPはもともと、中国に対抗する経済圏を構築する意図もあって日米主導で組織されたが、米国は結局加入せず、当の中国が今年9月、自ら加盟を申請した。大胆不敵な外交姿勢である。
 台湾の加盟申請を阻止する狙いがあるとも言われているが、台湾や尖閣周辺での振る舞いと同様、自国の主張を通すためなら何でもやるという姿勢は一貫している。
 沖縄の平和と安全を考えるとき、精神的には未熟だが、したたかな外交力を持つ超大国と対峙なくてはならないことを肝に銘じるべきだ。
 米国や台湾は、中国が台湾に侵攻する「台湾有事」が近い将来に現実化する可能性に警鐘を鳴らしている。台湾有事はたちまち沖縄有事になり、尖閣有事になる。県政や県民は、台湾周辺での中国軍の活動をぼんやり見ていてはいけない。

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