衆院はきょう14日解散され、19日公示、31日投開票の総選挙が事実上始まる。衆院議員の任期満了は21日で、現憲法下で初めて任期満了越えの選挙となる。
岸田文雄政権は、4日の発足から1カ月足らずの短い期間で国民の審判を仰ぐ。
異例尽くしの選挙戦となったのは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、菅義偉前首相が解散を先延ばしせざるを得なかったためだ。
新型コロナの「第5波」はようやく落ち着きつつあるが、選挙戦では疲弊した国民生活をどう立て直すか、経済の再開をどのように進めるかが焦点になる。
各党とも積極的な経済対策を打ち出しているが、財務省の矢野康治事務次官が今月発売の月刊誌への寄稿で「ばらまき合戦のようだ」と批判したことが物議をかもした。巨額の支出が続く財政の現状を「タイタニック号が氷山に向かって突進しているようなもの」と訴えている。
財務省は一貫して財政再建の必要性を訴えており、各党が大盤振る舞いしがちな選挙戦を前に、警鐘を鳴らしたともいえる。野放図な支出拡大が許されていいわけがないのは当然だ。
一方で、コロナ禍の非常時に緊縮財政を要求するのも理に合わない。思い切って紙幣を刷ってでも、国民の所得を上げ、家計の消費を活発化する政策に集中投資することが大切だ。