今選挙では、新型コロナウイルス感染拡大とそれに伴う生活不安が最大の焦点に浮上した。相対的に辺野古への関心が下がったことが、情勢を島尻氏有利にしたと言える。沖縄の選挙は辺野古だけに尽きるものではないことを、改めて再確認した戦いだった。
「オール沖縄」勢力失速のもう一つの要因は、玉城県政のコロナ対策に対する不信感だろう。
沖縄は長く全国最悪の感染状況が続くが、コロナ対策で知事のリーダーシップが話題になる機会はほとんどなかった。ワクチン接種率も全国平均は7割台に達したが、沖縄はいまだ6割台と低迷している。
大阪も感染状況は思わしくないが、吉村洋文知事のコロナ対策は高い評価を受け、衆院選で維新が躍進した要因になったとされる。沖縄とは対照的で、玉城知事の発信力、決断力、危機管理能力が県民から疑問視されていると言わざるを得ない。
「オール沖縄」勢力から保守系政治家や有力企業の離脱が相次いでいることも、知事の求心力低下に拍車を掛けている。「オール沖縄」勢力が保守中道層の一部を取り込んでいるのは事実だが、実質的な中核は革新共闘体制であることが今選挙で改めて浮き彫りになった。
来年は名護市長選、参院選、知事選と重要選挙が続く。「自公対オール沖縄」の図式が従来型の「保守中道対革新」の戦いに先祖返りする傾向は、今後も続くのではないか。