訪米も打開策見えず 玉城知事「内憂外患」

 米軍普天間飛行場の辺野古移設問題で、玉城デニー知事が11日から訪米して反対を訴える意向を表明した。6日には菅義偉官房長官との面会も予定されており、日米両政府への直接的な働き掛けを強める。ただ、こうした反対行動は翁長雄志前知事の時代から何度も繰り返されており、玉城氏独自の戦略や打開策は見られない。知事が辺野古反対の公約に邁(まい)進していることをアピールするためのセレモニーと化しているのが内実と見られる。

 翁長前知事は日米両政府に対し、辺野古移設は沖縄にとって新たな基地負担だと主張してきた。しかし日米両政府は逆に、辺野古移設は普天間飛行場の危険性除去を目的とした負担軽減策との立場を堅持。双方の意見は終始、噛み合わなかった経緯がある。
 玉城知事の主張は知事選以来、ほぼ一貫して翁長前知事の主張をなぞるだけに終わっている。菅氏は「普天間飛行場の危険除去について知事がどう考えているかをうかがってみたい」と述べ、玉城氏に辺野古移設の「対案」を求める意向を示している。翁長前県政時代とは異なる戦略や論理を示せないなら、玉城氏の訴えが日米両政府を動かす可能性は低い。
 一方、政府は、県による辺野古沿岸埋め立て承認撤回の効力を一時停止し、移設工事を再開した。今後、県との法廷闘争に入ると見られている。
 翁長前県政時代の埋め立て承認取り消しをめぐる裁判では県が敗訴したが、今回は4月までに実施される予定の県民投票で反対多数の結果を得て「民意」を新たな判断材料として提出する可能性がある。
 ただ、県民投票の実施は既に石垣市が難色を示している。ほかにも保守系首長が在職する市で対応を明確にしていない自治体があり、課題を抱える。辺野古阻止へ向け、玉城知事は日本政府や米国への働き掛けのほか、足元の自治体からも協力を取り付けなくてはならず「内憂外患」の状況と言える。

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