【視点】辺野古促進、宜野湾の決議重い

 辺野古移設問題を巡っては2月に県民投票が実施され、移設反対が投票者の7割を占めた。しかしその後の経緯を見ると、県民投票の政治的影響は皆無に近い。国の外交や安全保障問題を一地方の住民投票で左右することはできないという原則があるからだ。事前に懸念された通りであり、県民投票に意味があったとは言い難い。
 政権への影響という意味では、7月の参院選のほうが大きかった。国政野党のほとんどが辺野古移設反対を政策の一つに掲げた。だが結果として安倍政権が継続し、現実的にも辺野古移設の促進以外に普天間飛行場を撤去する方法がなくなった。参院選より県民投票を重視する反対派の見方は、現実離れしている。
 意見書は、工事の本格化、県民投票、参院選といったさまざまな状況を踏まえ「苦渋の決断の時期」として現在のタイミングで提出されたものだろう。石垣市議会も同様の内容の意見書を既に可決しており、政府に要請行動を展開している。
 辺野古移設を推進する安倍政権も意見書可決を喜んでばかりはいられない。意見書では、普天間飛行場の運用停止時期を新たに決めることや、人口密集地上空での米軍機飛行回避など、まだ手つかずの問題についての要求事項を盛り込んでいる。
 工事が順調に進んでも移設はまだ先の話になるが、危険性の除去に向け、今できることには早急に取り組まなくてはならない。意見書は県の無策を批判すると同時に、返す刀で安倍政権の尻を叩く内容でもある。

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