【インタビュー】岐路に立つ自治基本条例

インタビューに答える黒島健・元副市長㊨と村田春樹・自治基本条例に反対する市民の会会長㊧

 石垣市の自治基本条例が岐路に立たされている。市民グループが同条例を根拠に、石垣島への陸上自衛隊配備を問う住民投票を求めて市を提訴。一方、市議会では同条例の見直しに向けた特別委員会が発足した。2009年の同条例成立時、当時の市政で中心的な役割を果たした黒島健・元副市長(72)と、同条例の問題点を訴えて全国で講演活動などを展開している村田春樹・自治基本条例に反対する市民の会会長(68)に話を聞いた。

〝協働〟実現のスタート 市政に「市民」の力結集 黒島健・元副市長

 ―自治基本条例制定の経緯は。
 「地方分権が進む中、真に自立した自治体になるためには『協働のまちづくり』が不可欠。自治基本条例は、市民、議会、市が足かけ3年にわたって議論を重ねてきた成果だ。自ら手を挙げた市職員ワーキングチーム15人で23回の会合を重ね、市出身の前津栄健・現沖縄国際大学長をアドバイザーに招いた。公募委員を含む市民検討会議を14回開催して素案をまとめ、各団体代表も含む条例策定審議会で11回の審議の末に条例骨子案をまとめた」
 ―条例制定の目的は。
 「市が自主自立した自治体運営を進めるための理念や基本原則を明文化することで、市民、議会、市が役割を認識し、市民主体の自治『市民自治』を進めるためだ。『参加と協働のまちづくり』がさらに充実する」
 ―制定から10年が経過した。
 「条例では、5年を超えないごとに、市民参加の審議会で社会情勢の変化に対応した検証や見直しを行うことを定めている。しかし本来の意味での検証が行われておらず、市の説明もされていない現状を指摘したい」
 ―市議会与党は、条例で『市民の定義が広過ぎる』などと批判している。
 「市は少子化、高齢化、情報化、国際化など、従来の行政の発想では解決できない課題に直面している。解決のためには市内に住所を持つ住民だけでなく、さまざまな形で市に関わり、集う人々の力を結集していく必要がある。情報共有、参加、協働などの新たな社会的要請に基づき、『市民』は広く定義すべきだ。住民に加え、市内で勤務する人、市内の学校などで学ぶ人、市内で事業活動やボランティア活動などをする人も『市民』ととらえる」
 ―今後、自治基本条例のどのような運用を望むか。
 「私は、条例が施行される前日に副市長を退任した。さまざまな運用のあり方を考えていたが、やり残した思いがある」
 「『市民参加』『市民自治活動』は自治基本条例の2大テーマ。条例の考え方を実現するには、条例に規定されていることがしっかり行われているか、定期的なチェックが必要」
 「まちづくりの主体となる市民の意識も問われてくる。この条例の制定運用は、自治体としてのゴールではなく、さらなる地域主体のまちづくりと自治の実現に向けた『スタート宣言』だ。市民、議会、行政で協働の絆をしっかりと結んでほしい」

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